コラム
2013年7月7日の日本経済新聞に掲載された「中古流通への新基準」について考えてみたい。国土交通省は戸建の中古住宅の価値を適正に算定するための新しい評価基準の策定に動き始めました。
現在の日本の建物の評価基準は「建物は年率5%で減価し、20年程度で価値ゼロとみるのが商慣習として定着している」(東京カンテイ)これは所有者がいくら建物を改修や修繕をしても効果を評価されることがなく、資産価値の向上につながってこないことを意味します。欧米では評価の基準があるため、所有者による積極的なリフォームや修繕などが行われています。
日本の不動産市況はスクラップアンドビルドと言われ、建てては壊すことを繰り返しながら動いています。日本での不動産市況の今後を考える上で人口減少・少子高齢化の観点は外せません。また住宅の一次取得者である30~40代の平均年収や金融資産が年々減少しています。現在では消費者の価値の多様化も進んでおり、住宅の本質的な価値を見極める動きがあります。そこで国土交通省はこれまでの新築重視の政策から既存の住宅ストックを有効活用することを重要な政策課題に考えはじめたと言えます。
消費者が中古の不動産を購入するときは不動産情報のサイトや仲介会社からの情報などにより必要な情報を収集しているものと思われます。築年数や物件の外観写真や内装の状況といった基本的な情報が集められますが、建物のリフォーム履歴や水廻り・配管の現況や修繕履歴など本当に知っておくべき情報を得られないことが多くあります。そういった情報を一元管理し、不動産の流通に役立てる仕組みの必要性が確認されました。今後の環境整備に期待していきたいです。
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